室戸世界ジオパークセンター

深海の世界

深海とは一般に、植物プランクトンが光合成できる限界とされる水深200m以深の海を指します。地球の表面積の70.8%を占める海洋のうち、その9割以上が深海です。深海は地球上で圧倒的な面積を占めているのです。しかし一方で、その調査はほとんど進んでおらず、地球最後のフロンティア(未開の地)とも呼ばれています。私たちが暮らす地上の常識が通用しない驚きの深海の世界をのぞいてみましょう。

陸を目指す深海

南海トラフから外洋には平らな海底が広がっています。この平らな海底は南海トラフを境にしてユーラシアプレートの下に沈み込むフィリピン海プレートです。フィリピン海プレートは今もなお、年間4〜6cmという速さで室戸に向かって移動し、南海トラフから地球深部へ沈み込んでいます。その際、深海底にあった堆積物の一部が剥ぎ取られて陸に向かって徐々に押し上げられています(付加体)。深海はプレートの動きによって陸を目指して移動しているのです。

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「ちきゅう」のドリルビット(JAMSTEC提供)

陸になった深海

陸を目指して移動した深海の堆積物は、数千万年の時を経て海面から顔を出しました。室戸の大地です。室戸の大地の基盤は、始新世から中新世(約5000万~1500万年前)の付加体で構成されています。このため室戸では、通常は目にすることのできない深海の光景を陸上で観察することができるのです。数千万年前の深海底ではどんな光景が広がっていたのでしょうか。

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シロウリガイとハナシガイの化石(金沢大学提供)

深海からの来訪者

フィリピン海プレートの沈み込みは、室戸の東海岸の海底に水深1000m以上まで続く崖もつくりました。そのためここでは陸からわずかの距離の場所で「海洋深層水」が深海から湧き上がっています。栄養豊富な海洋深層水は豊かな漁場を育み、明治時代から定置網漁が行われてきました。また、日本初の海洋深層水の陸上取水が始まった地でもあります。定置網や取水パイプに深海生物がしばしば紛れ込み、世界的にも報告例がない、もしくは少ない希少種も数多く確認されています。

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メガマウスの実物大模型

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海洋深層水の取水口に迷入した深海生物の標本(高知県海洋深層水研究所提供)

出発のとき

さあ、ここからが本番です。 この先、「室戸ユネスコ世界ジオパーク 深海博2016」の会場は室戸世界ジオパークセンターの外へと移ります。生きた深海生物に出会い、深海の水に触れ、深海グルメを味わい、深海の化石を見つけ出す旅が始まります。冒険の準備が整ったらいよいよ出発です。それではいってらっしゃい。